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「もっとも有名なカビ毒 アフラトキシンの基準」について

カビ毒については、有害物質として検査を行っています。この度、食品衛生関係雑誌にカビ毒に関する情報提供があったので概要をまとめました。

もっとも有名なカビ毒 アフラトキシンの基準 
カビ毒のなかでも、もっとも毒性が高いものの一つがアフラトキシン類です。アフラトキシン類は、穀類・ピーナッツ。ナツツ類。トウモロコシ・ドライフルーツなどに寄生するアスベルギルス属(Aspergillus,コウジカビ)の一部のカビが産生するカビ毒で、食品から検出されるのは主にBl、B2、G1、G2の4種類です。また、乳牛の飼料中にアフラトキシンBlとB2が含まれると、牛がそれを代謝して牛乳のなかにアフラトキシンMlとM2という種類が検出されます。 
これらのうち、もっとも毒性が高いと考えられているのはアフラトキシンBlです。強力な肝発がん物質で、肝炎ウイルス感染があると相乗的にリスクが高くなるとされています。海外では、カビの生えたトウモロコシなどが原因の、急性毒性による死亡事故も多数報 
告されています。 
アフラトキシンの基準 
アフラトキシンはさまざまな食品や飼料に対して基準が定められています。 
日本では、飼料のアフラトキシンBlについて、農林水産省が指導基準および管理基準を0.01あるいは0.02mg/kgに飼料によって設定しています。 
食品に対しては、総アフラトキシン(アフラトキシンBl、B2、G1およびG2の総和)の上限を10㎍/㎏と定めています。乳については、アフラトキシンM1が0.5㎍/㎏が基準となります。 
海外での基準設定 
国際流通する食品の基準であるコーデツクス基準は、作物ごとにもう少し細かく設定されていて、加工原料用のピーナッツや木の実(アーモンド、ヘーゼルナツツ、ピスタチオヽ殻なしブラジルナッツ)は総アフラトキシン15㎍/kg、直接消費用の木の実(アーモンド、 へ―ゼルナツツ、ピスタチオヽ殻なしブラジルナッツ)は総アフラトキシン10㎍/kgといった具合です。 
どうしても一定のレベルの汚染は避けられないので、あまり厳しい基準を設定すると食料供給が困難になるものの消費者へのリスクは最小限にしたい。そうすると、汚染レベルの実態を反映して作物ごとに細かく基準を設定することになるのです。 
表にEUの食品中アフラトキシンの基準の一部を示しました。 
「どんな作物にアフラトキシンが検出されやすいのか」「日本は加工用と直接消費用の区別はしていないのでEUが日本より厳しい、ゆるいなど単純には言えないこと」がわかると思います。 

畝山 智香子(うねやま ちかこ)  
薬学博士。東北大学薬学部卒。国立衛生試験所安全性生物試験研究センター病理部を経て、前。国立医薬品食品衛生研究所安全情報部長。  
現在、(公社)日本食品衛生協会学術顧問。  
出典 食と健康 2025.11 (公社)日本食品衛生協会  

【本件に関するお問い合わせ先】
一般社団法人埼玉県食品衛生協会検査センター
電話番号 048-649-5331