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「いろいろなカビ毒 デオキシニバレノールとニバレノール」について

カビ毒については、有害物質として検査を行っています。この度、食品衛生関係雑誌にカビ毒に関する情報提供があったので概要をまとめました。

デオキシニバレノール(DON)とニバレノール(NIV)は、麦類などの穀類に検出されるタイプBトリコテセン類というグループに分類される力ビ毒です。 
麦類の赤かび病の病原菌であるフザリウム属(Fusarium’ アカカビ)のカビが、農作物、特に麦類や豆類に付着し、不適切な生産管理や収穫・乾燥によりカビが増殖し、トリコテセン類とよばれるカビ毒を産生します。ほかにT-2トキシン、HT-2トキシン、ジアセトキシスシルペノール(DAS)などがトリコテセン類です。 
 
基準と評価 
これらのうち日本の食品衛生法による規格基準があるのは、小麦(玄麦)についてのデオキシニバレノールの1.0mg/kgのみですが、海外ではより多くの穀物とカビ毒の組合せについて基準が設定されている場合があります。 
DONの毒性影響は、実験動物では嘔吐や餌を食べる量の減少、体重増加抑制、免疫系への影響などが報告されていて、高用量では胎児毒性や催奇形性もあります。食品安全委員会は、2019年にマウスでの慢性毒性試験での体重増加抑制を指標にして、耐容一日摂取量(TDI)を1㎍/kg体重/日と設定しています。 
NIVについても同様で、動物実験のデータがDONより少ないため追加した不確実係数 
を使ってTDI 0.4μg/ kg体重//日と評価しています。 
 
小麦のカビ毒汚染対策 
DONとNIVの食品中の濃度(DONについてはアセチル化されたものも含む)から、一般的に日本人のこれら毒素へのばく露量はTDI以下であるものの、一部の集団(1~6歳)ではDONのばく露量がTDIを超過する可能性が示唆されています。そのため、小麦のカビ毒汚染を低減化する対策をとる必要があります。 
日本は比較的高温多湿な環境のため、小麦のカビ毒汚染対策はきわめて重要で、農林水産省は「麦類のデオキシニバレノール、 ニバレノール汚染の予防及び低減のための指針」を策定するなどして対策を推進してきました。 
これには赤カビ病の発生を未然に防ぐため、適期を逃さず必ず防除すること、つまり農薬を使うことが含まれます。 
 
基準値超過による回収事例 
令和6年に岩手県産小麦(ナンブコムギ)の一部で、DONが食品衛生法で定める基準値を大幅に超過(最大6mg/kg)していたことが判明し、この小麦を原材料にした南部せんべいや、すいとんなどの食材が学校給食やふるさと納税など、多岐にわたる製品に使用されていたことから、非常に影響の大きい回収事例となりました。 
 
農林水産省は、 この事例を受けて、改めて適切な防除を含むカビ対策の重要性を強調しています。 
 
給食などでは、地元産や国産の食材を使いたいというニーズが高く、さらにそこに減農薬や有機農産物を使ってほしいという要望が出されていることがあります。しかし、カビ毒のリスクという点では、国産にメリットがあるわけではなく、農薬の適切使用は必須であることを理解したうえで、価格や価値観も含めて、生産者から消費者にいたる関係者すべてが納得できるような選択をすべきでしよう。

畝山 智香子(うねやま ちかこ)  
薬学博士。東北大学薬学部卒。国立衛生試験所安全性生物試験研究センター病理部を経て、前。国立医薬品食品衛生研究所安全情報部長。  
現在、(公社)日本食品衛生協会学術顧問。  
出典 食と健康 2026.1 (公社)日本食品衛生協会  

【本件に関するお問い合わせ先】
一般社団法人埼玉県食品衛生協会検査センター
電話番号 048-649-5331