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食品等の自主検査における食品等事業者の役割について

食品等の自主検査については、食品等事業所において行うとか、 食品衛生法第3条の食品等事業者が行うとか様々な表現が見受けられます。ここでは、行政用語としての使われ方や法律(食品衛生法)や通達に用いられる法律用語としての「食品等の自主検査」についてまとめてみました。

結論から言うと、

「食品等事業所」=食品衛生法に基づく「食品等事業者」が実際に食品関連の業務を行う“場所(施設)”のこと  
「食品等事業者」=食品衛生法第3条で定義される“責任主体(人・法人)”のこと

つまり、
事業者=誰が責任を負うか  
事業所=どこで食品関連の行為が行われるか  
という関係です。

◆ 1. 食品等事業者(食品衛生法第3条)の定義
食品衛生法第3条では、次のように定義されています。

食品の製造・加工・調理・販売などを業として行う者(個人・法人)  =「食品等事業者」

ここで重要なのは、

個人事業主でも法人でも該当、

店舗を持たないネット販売者も該当、

委託製造をしていても、表示責任者は食品等事業者 

という点です。

食品衛生法の義務(HACCP、衛生管理計画、記録、回収体制など)は、この「食品等事業者」に課されます。

◆ 2. 食品等事業所とは何か
「食品等事業所」は法律上の明確な定義語ではありませんが、行政文書や自治体の届出制度で広く使われています。

一般的には、食品等事業者が食品関連の作業を行う場所(施設・店舗・工場・営業所)を指します。

例:

飲食店の店舗

惣菜工場

パン工房

食品倉庫

ネット販売者の製造場所

仕入れ・保管を行う倉庫

移動販売車(営業車両)

自治体の「営業届出制度」では、事業者(人)と事業所(場所)をセットで登録します。

◆ 3. 両者の関係を整理すると 

◆ 4. よくある誤解
❌「食品等事業所=法人格を持つ会社」
→ 違います。場所のことです。

❌「食品等事業所が義務を負う」
→ 義務を負うのは事業者(人・法人)であり、事業所は管理対象。

食品衛生協会や自治体の資料では、
「食品等事業者(=責任主体)」と「食品等事業所(=届出対象の場所)」を区別して説明することが多いです。

特に届出制度では、

事業者名(法人名・個人名)

事業所名(店舗名・工場名)

事業所所在地

行う業種(飲食店営業、製造業など)

をセットで登録するため、両者の区別が重要になります。

では、「食品等事業所が行う食品等の自主検査」という表現と「食品等事業者が行う食品等の自主検査」という表現でどちらが適しているのでしょうか。その理由は?

結論から言うと、
適切なのは「食品等事業者が行う食品等の自主検査」です。

理由は、食品衛生法上の義務主体は“事業者(人・法人)”であり、事業所(場所)ではないためです。

◆ 結論:正しい表現は「食品等事業者が行う自主検査」
自主検査(微生物検査、理化学検査、拭き取り検査、アレルゲン検査など)は、
食品衛生法に基づく衛生管理の一環として、事業者が責任をもって実施するものです。

したがって、

「食品等事業者が行う自主検査」→ 法律上正しい表現

「食品等事業所が行う自主検査」→ 誤りではないが、正確性に欠ける表現

となります。

◆ 理由:食品衛生法の義務主体は「事業者」であり「事業所」ではない
● 食品衛生法第3条
食品等事業者とは、

食品の製造・加工・調理・販売などを業として行う者(個人・法人)と定義されています。

つまり、
衛生管理計画の作成、HACCP、記録、自主検査、回収体制などの義務はすべて“事業者”に課されるものです。

● 一方の「食品等事業所」は“場所”にすぎない
事業所は、店舗、工場、厨房、倉庫、移動販売車
など、事業者が食品関連業務を行う場所を指す行政用語です。

事業所そのものが義務主体になることはありません。

◆ なぜ「事業所が行う自主検査」は不適切なのか
理由は3つあります。

① 法律上の責任主体ではない
自主検査の実施責任は事業者にあり、
事業所はその“管理対象”にすぎません。

② 事業所は複数存在する場合がある
1つの事業者が複数の工場・店舗を持つことは一般的です。
自主検査の計画・基準は事業者が統括して定めます。

③ 行政文書・ガイドラインも「事業者」を主体に記述
厚労省のHACCP制度化通知や自治体の衛生管理指導文書では、
「事業者は自主検査を行うこと」  
と明確に書かれています。

◆ ただし「事業所で実施する自主検査」という表現はOK
現場レベルでは、

検体採取は事業所で行う

拭き取り検査は事業所で実施する

工場内で日常的に行う検査

という意味で
「事業所で実施する自主検査」  
という表現は自然です。

しかし、責任主体を示す場合は必ず「事業者」です。

◆ まとめ

(1)厚労省通知での「事業者」表現の要点 と
(2)埼玉県の届出制度での「事業者/事業所」の使われ方 を必要な部分だけ整理してみました。

◆ 1. 厚労省通知における「事業者」表現の要点
厚生労働省の HACCP 制度化関連通知(令和元年〜令和3年の一連の通知)では、
自主検査の主体は一貫して「食品等事業者」 と明記されています。

● 要点(条文ではなく通知の趣旨を整理)
厚労省通知では、次のような表現が繰り返し使われています。

「食品等事業者は、衛生管理計画に基づき、必要に応じて自主検査を行うこと」

「食品等事業者は、製品の安全性を確認するため、微生物検査等を実施することが望ましい」

「食品等事業者は、製造所等における衛生管理の検証として検査を行う」

ここで重要なのは:

◎ 厚労省は「事業者」を主体として書いている
自主検査

衛生管理計画

記録

検証

従業員教育

回収体制

これらの義務はすべて “事業者(人・法人)”が負う と明確にされています。

◎ 「事業所」は“場所”として扱われる
通知では「事業所」という語は、

「製造所等」

「営業施設」

「店舗」
などの“場所”として扱われ、
義務主体としては扱われません。

◆ 2. 埼玉県の届出制度での「事業者/事業所」の使われ方
埼玉県の食品衛生法に基づく「営業届出制度」では、
事業者(人・法人)と事業所(場所)を明確に区別して登録します。

● 埼玉県の届出書の構造(要点)
埼玉県の届出書では、次のように区分されています。

【A】食品等事業者(責任主体)
法人名または個人名

代表者名

住所

連絡先

→ 食品衛生法上の義務を負う主体

【B】食品等事業所(営業を行う場所)
店舗名・工場名

所在地

行う業種(飲食店営業、製造業など)

施設の構造・設備

→ 事業者が管理する“場所”として登録

◎ 埼玉県の文書でも「自主検査の主体=事業者」
埼玉県の衛生管理指導資料では、

「事業者は自主検査を行い、衛生管理の検証を行う」

「事業者は製品の安全性を確認するため検査を実施する」

と記載され、
“事業所が自主検査を行う”という表現は使われません。

◆ 3. まとめ:どちらの表現が適切か
◎ 正しい表現
「食品等事業者が行う自主検査」

◎ 理由
厚労省通知が義務主体として「事業者」を明記

自主検査は衛生管理の一環であり、責任主体は事業者

埼玉県の届出制度でも「事業者=責任主体」「事業所=場所」と区別

行政文書で「事業所が自主検査を行う」という表現は使われない

◎ 補足
実務的には「事業所で実施する自主検査」という表現は自然

しかし責任主体を示す場合は必ず「事業者」が正しい