消毒用アルコールは、食中毒菌に効果があるのにノロウイルスに効果がないといわれる理由
消毒用アルコールは、食中毒菌に効果があるのにノロウイルスに効果がないといわれる理由
・エタノールは脂質構造を壊す
ヒトや細菌など、あらゆる生物の細胞表面は「細胞膜」という脂質で覆われています。エタノールは、この細胞膜の脂質構造を破壊することで消毒作用を発揮します。
エタノールは、消毒スピードが早い上に揮発性が高いため、ヒトの細胞には短時間しか作用せず、皮膚への毒性が低い特徴があります(多用すると皮膚がかぶれる場合もあります)。入手しやすく扱いやすいことから、医療施設や食品工場だけなく、一般店舗や家庭でも使われています。
エタノールは、食中毒の原因である病原性大腸菌、黄色ブドウ球菌、サルモネラ菌などの細胞膜を破壊して消毒できます。ウイルスについては、外殻の外側が「エンベローブ」という脂質膜で覆われているインフルエンザウイルスや新型コロナウイルスなどに有効です。
ただし、脂質に作用するため、脂質膜をもたない、つまりエンベロープをもたないノロウイルスには効果はありません。また、「芽胞」という、耐久力の高い殻のようなものを形成した細菌(ボツリヌス菌、ウェルシュ菌など)には無効です。
・70%エタノールが多い理由
何事も濃度が高ければ効果も高いと思いがちですが、この比例関係はエタノール消毒において成り立ちません。エタノールの消毒作用が強いのは、濃度が70〜95%の場合です。
濃度100%では、むしろ作用が弱くなってしまいます。その原理は十分解明されていませんが、エタノールと水の分子の割合が1:1となる濃度70%が細胞膜の破壊に最適であると考えられています。
実際、家庭用/業務用で販売されている消毒用エタノールは、十分に効果が期待でき、かつコストを抑えた濃度70%がほとんどです。
なお、厚生労働省によると、濃度60%台でもある程度の効果が見込まれるため、70%エタノールが入手しにくい状況では60%台に薄めて使用しても差し支えないとしています。
新型コロナウイルスの消毒・除菌方法について|厚生労働省
【本件に関するお問い合わせ先】
一般社団法人埼玉県食品衛生協会検査センター
電話番号 048-649-5331